江戸商人の知恵に学ぶ「老舗の家訓」
日本には、古くは江戸時代から発展を続けてきた「老舗」が多く存在しています。こうした「老舗」には、その発展を支えてきた商人たちの商売の礎となった「家訓」(経営理念)があります。
現代にも通ずる江戸商人たちの「家訓」
●義を先にして利を後にする者は栄える
大丸創業者・下村彦右衛門が事業の根本理念として定めたもの。「企業の利益は、お客様・社会への義を貫き、信頼を得ることでもたらされる」という意味。
●商売は見切時の大切なるを覚悟すべし
三井家の家祖・三井高利が残した家訓の1つ。「たとえ一時的な損失があっても、後日さらに大きな損失を受けるよりは早く見切る(決断する)ことが重要」という考え。
●自ら儲く可き金の三分は人に儲けさせよ
吉野杉の植林を手がけた土倉庄三郎が掲げた財産の活用法。「三分の一は国のため、三分の一は教育のため、三分の一は自分の仕事のために使う」という方針。
(参考:山本眞功『商家の家訓』青春新書、2005年)
新年を迎えたこのタイミングで、あらためて自社の原点や、経営において大事にしていることを振り返ってみるのはいかがでしょうか。また、そこから一歩進んで、経営理念を定めてみるのも良いでしょう。
令和7年1月28日
競馬と税金
令和6年12月22日、冬のグランプリ・第69回有馬記念が千葉県船橋市の中山競馬場で開催されます。同レースの昨年の入場者数は53,000人超、売得金(売上)は約545億円に上りました。これは昨年のJRA(日本中央競馬会)G1レースのうち最高額。日本ダービー(約283億円)や夏のグランプリ・宝塚記念(約273億円)、ジャパンカップ(約260億円)といった名だたるG1レースと比較しても、その売上は別格であることがわかります。有馬記念で「有終の美」を飾って引退するスターホースも数多く、有馬記念は、競馬ファンはもちろん、多くの人を惹きつけるレースとしてその地位を不動のものとしています。
競馬の払戻金は、原則として一時所得に該当し、確定申告が必要になることがあります。一時所得は、「収入金額(払戻金の金額)」から「収入を得るために支出した金額(的中した馬券の購入費用)」を差し引いた後、特別控除額(最高50万円)を差し引いて計算します。そのため、払戻金があった場合には、レースの開催日・開催場・レース名・払戻金に係る受取額・払戻金に係る投票額を控えておくと、後で計算がしやすくなります。なお、外れた馬券の購入費用を差し引くことはできないので注意が必要です。
買った馬券が「大当たり!」した時は嬉しいもの。そんな時こそ、きちんと記録しておきましょう。それから、確定申告もお忘れなく。
令和6年12月25日
あらためて見直してみましょう その価格、いまも適正ですか?
10月から駄菓子の「うまい棒」が1本12円から15円に値上げされ、大きな話題となりました。1979年発売の同商品は、長年1本10円でしたが、2022年4月、原材料価格の上昇等を背景に1本12円に。今回は2回目の値上げとなりました。当初の販売価格から考えてみると、ここ3年で5円の値上げ。その値上げ率は150%にもなります。
調査会社によれば、「うまい棒」のほか、10月から値上げされた食品はペットボトル飲料やハム、ソーセージ、チョコレート等2900品目超に上ったといいます。原材料価格の高騰に加え、人手不足に伴う物流費や人件費の上昇等がこの背景にあるとみられています。かつては「物価の優等生」といわれていた卵も、猛暑や秋の月見商戦の影響等により高水準で推移。暮らしに身近な商品の値上げが相次いでおり、買い控えをする消費者も多くなるかもしれません。
一般消費者の懐には厳しい商品の値上げ。その一方で、値上げを容認する世間の雰囲気はここ数年で一気に醸成された感もあります。安易な価格改定は会社や商品・製品への信用を落としかねませんが、きちんとした理由や根拠のある価格改定は、経営の安定・取引の持続に必要不可欠です。仕入価格や原材料価格等の推移をしっかりチェックし、自社の商品・製品の価格がいまも適正かどうか、あらためて見直してみてはいかがでしょうか。
令和6年12月2日
年末駆け込みのふるさと納税はここに注意!
毎年12月になると、駆け込みでふるさと納税(自治体への寄附)をされる方が多くいらっしゃいます。令和6年分の所得税と翌年度の住民税の控除対象とするには、次の期日を意識しましょう。
〇本年12月31日(火)までに入金完了していることが必要
ふるさと納税は「自治体への入金日」が寄附日になります。クレジットカードや二次元コード決済などの場合は、決済日が寄附日になるため12月31日の寄附でも原則として年内の寄附となります。コンビニ払い、Pay-easy(ペイジー)、銀行振込、納付書払いなどの場合は、入金日がずれることがあります。
〇「ワンストップ特例」の申請は令和7年1月10日(金)まで
ワンストップ特例の申請書は、寄附先の自治体に令和7年1月10日(金)までに届いていることが必要です。申請書は自治体から郵送されますが、ふるさと納税を取り扱う各ポータルサイト等からもダウンロードが可能ですので、年末間際はこちらが便利です。また、一部の自治体では、マイナンバーカードを利用したオンラインによる申請も可能となっています。
寄附先自治体が5か所を超えた方、住宅ローン控除(初年度)を受ける方、医療費控除を受ける方――などは、ワンストップ特例を利用できません。確定申告において寄附金控除を申告しましょう。
年内にふるさと納税を予定されている方は、できるだけ早めに、余裕を持って行うようにしましょう。
令和6年11月12日
11月3日は「文化の日」
芸術の秋を堪能しよう
11月3日は「文化の日」です。「国民の祝日に関する法律」(昭和23年法律第178号:祝日法)第2条によれば、「文化の日」とは「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日とされています。
もともと、11月3日は明治天皇の誕生日であり、祝日の「明治節」として国民の休日とされていました。昭和21年の日本国憲法公布に伴い憲法記念日となるはずでしたが、GHQ(連合国最高司令官総司令部)の意向も働き、憲法公布から半年後の5月3日が憲法記念日に。そこで、祝日となる予定だった「11月3日」の扱いについて議論され、憲法の精神に基づき、「自由と平和」が強調された「文化の日」とされることとなりました。
「文化の日」には、皇居で文化勲章の親授式が行われます。また、多くの博物館や美術館、文化施設などの入場料が無料になる日でもあり、文化や芸術を気軽に楽しむことができます。
芸術の秋です。忙しい日常から少し離れて、気分転換や新たなヒントを得るために、さまざまな文化・芸術に触れてみてはいかがでしょうか。
令和6年10月28日
正しく理解してしっかり行動! 災害時の「警戒レベル」
夏から秋にかけて、風水害が発生しやすい時期が続きます。ニュースなどでよく耳にする「避難指示」等の「警戒レベル」について正しく理解して、いざという時にも慌てずに行動できるよう備えておきましょう。
現在、自治体や気象庁等から発令される「警戒レベル」には5段階があり、「警戒レベル4」までに、危険な場所から必ず避難することが求められています。
■「警戒レベル」一覧表
警戒レベル |
状況 |
行動を促す情報 |
とるべき行動 |
5 |
災害発生または切迫 |
緊急安全確保 |
命の危険 直ちに安全確保! |
4 |
災害のおそれ高い |
避難指示 |
危険な場所から全員避難 |
3 |
災害のおそれあり |
高齢者等避難 |
危険な場所から高齢者等は避難 |
2 |
気象状況悪化 |
大雨・洪水・高潮注意報(気象庁) |
自らの避難行動を確認 |
1 |
気象状況悪化のおそれ |
早期注意情報(気象庁) |
災害への心構えを高める |
(災害対策基本法「避難情報に関するガイドライン」を基に作成)
「警戒レベル」は、テレビやラジオ、市町村防災行政無線、緊急速報メール、X(旧Twitter)等のSNS等で発信されます。悪天候が予想されている時や災害時には、できるだけこまめにこれらの情報をチェックするようにしましょう。
また、日頃から、最寄りの避難場所を確認したり、非常食や救急セット等、避難時に持参するものを備蓄したりすることも重要です。社員の命を守ることにもつながります。
令和6年10月2日
定額減税でどうなる?
住宅ローン控除、ふるさと納税
所得税・住民税の定額減税が実施されました。これにより、住宅ローン控除の適用を受けている人は「控除額が減るのではないか」、ふるさと納税を行う人は「控除上限額が下がってしまうのか」と心配されているかもしれません。
住宅ローン控除は、本来の所得税額から控除額を差し引いた後に定額減税分が控除されるため、住宅ローン控除の控除額が減ることはありません。
ふるさと納税は、控除上限額の算定基礎となる令和6年度分の住民税の所得割額は定額減税分を控除する前の所得割額となるため、控除上限額に影響はありません。
どちらも、「定額減税による影響はない」というのが結論となります。
■ふるさと納税のルール変更へ
寄附金額に応じて、返礼品とは別に商品等と交換できる独自ポイントを付与する、ふるさと納税のポータルサイト(仲介サイト)があります。総務省は、令和7年10月から、そうした仲介サイトを通じて自治体が寄附を募ることを禁止する方針を示しました。これにより、仲介サイトが独自のポイントを付与することが事実上できなくなります(利用者がクレジットカード決済で支払った際にカード会社が付与するポイントは、通常の商取引に伴うものであるためルールの対象外)。
令和6年9月3日
加藤会計事務所 事務所案内より
※本コラムは旬刊で、時折のテーマを提供してまいります。ご期待ください。